猫とジュンゴと茶碗蒸し

ボードゲームについて感じたことを書いています。

ディセント第2版

ボドゲで遊ぶようになってそろそろ半年になります。
そんなボードゲームの中にはサクッと終わるものからとても時間がかかるものもあります。
今回紹介するのはそんな重たいボドゲの中からひとつ。
"ディセント 第2版"のご紹介です。

●ディセント 第2版ってどんなもの?
パーティーを組んで冒険を進めていく"英雄"と
モンスターを操り英雄に立ちはだかる"オーバーロード"陣営に分かれて遊ぶ
剣と魔法のRPG的なボードゲームです。


戦闘結果はダイスの出目で決まります。
TRPGのようですが、シナリオ毎にタイルを組み立ててモンスターのフィギュアを置き、
実際にダンジョンを進んでいきます。
小さなフィギュアを並べてダンジョンを進んでいく様子は、RPGを立体化したようです。
私の大好きなヒーロークリックスも同様のスタイルですね。


シナリオ1つだけを遊ぶことも可能ですが、
ストーリーをなぞっていくキャンペーンモードを走破しました。

シナリオ1つは前篇/後編に分かれており、
キャンペーンモードは9シナリオ。

1つのシナリオをクリアするのにおよそ3時間〜4時間かかるので
30時間以上遊んだことになります。


●感想
面白いんだけどバランスが悪い!
シナリオによってはどちらかの陣営がほぼ詰んだ状態で始まるのもあるので
本当にテストプレイをしたのかすら疑いたくなります。

アメリカゲーなので仕方ないのかな。
アメリカ人のセンスは好きなんだけど
アメリカ人がゲーム作ると大体バランスがひどいんですよね。
パラノイアとかゾンビーズとか。
「設定はイケてるのにプレイしてみると終わりがあまりにも遠くダラダラと続く苦行に耐えなければならない時間帯が存在する」
楽しく遊びたいのになんだか辛い…ふしぎ。


アメリカゲーはハウスルールの整備をして遊ぶものなのかなって思っちゃいます。
上記のゾンビーズは1時間程度に収めるようバランス調整すると、面白く遊べたので。

でもアメリカ人が考えたゲームでも、
ドミニオンなんかはとても良くできているよね。
当たり外れが大きいだけなのかな。


ちなみに3人でプレイして、私は英雄側。
2勝7敗と負けまくりました。
こうしたらいいのに、という改善点等は後述。の前に…


以下に感想詳細をつらつらと書いていきます。
が、今回英雄陣営しか体験してないので、英雄寄りの想いになっていると思います。
また、私自身は軽めのボドゲを好む傾向にあることもあり
アンチな意見になっていることもご容赦下さい。
(でも重たいゲームにも好きなのあるんですよ、アルハンブラとかおかしな遺言とか。)


●良い点
・キャラメイクの時間が不要。キャラクターシートを選ぶだけでおしまい。
・小さなキャラクターフィギュアも精巧に出来ている。
・単純に敵を殲滅するというシナリオだけではなく、ある人物を救出するために城へ潜入したり
魔法のアイテムを集めたりとシナリオのバラエティーも豊富。
・シナリオ終了後のお買いものが楽しい。
経験値を使ってスキルを習得したり、ダンジョンで手に入れたアイテムを売却して武具を購入したり。
大事な英雄のカスタマイズタイム。


●悪い点
シナリオ開始するまでのセットアップ自体に時間がかかる。
1.MAPは図解されているが、具体的にどのタイルが必要なのか明示されておらず、図とにらめっこを繰り返さなければならない。
タイルには番号が振られているのでその番号がまず列挙してあれば、タイルを探す手間は減ったと思う。
2.配置するモンスターも記号でかかれており、都度参照する手間が発生し非常に煩雑。
モンスターの名前で書けばいいのに、トロワ語はプレイ感がとても悪く感じます。
・モンスターは数が多いため、複数のモンスターにダメージを与えていると
どのモンスターにどれだけダメージを与えたかの管理が必要になるが、
同種族のフィギュアは同じ姿形をしているので管理が難しい
→こちらのページで1つの解決案を提示されています。エクセレント!
http://boardgamegeek.blog.fc2.com/blog-entry-220.html
・重ゲーなので仕方ないが、インストにも時間がかかる。
覚えることが非常に多いので、未プレイ者ばかりでの初プレイは非常に敷居が高い。
シナリオのゲームバランスが壊滅的なものが存在する。
「Act1:翼持つ死神 後編」は英雄側が前編勝利の場合、オーバーロード陣営が勝つことはほぼ不可能。
「Act2:汚れた墓地 後編」はオーバーロード側があるカードを所持していた場合、英雄側は敗北確定、など。
・英雄2人でプレイした場合、Act2は終始詰む。
片方が死ぬと当然火力はもう片方の英雄に集中。結果、英雄はただのサンドバックになってしまう。
・英雄側の能力起動にはスタミナの消費を伴うものが多い。
にも関わらずスタミナの上限値は低く、回復手段は限られており、能力で遊ぶという爽快感に欠ける。
・雑魚モンスターのフィギュアは付属しているのに、ユニークモンスターの副官キャラ達は別売り。
・Act2移行後、モンスターのステータスは一気にパンプアップされるのに対し、英雄側は一切ステータス強化はない。
そのため、雑魚モンスターの掃討にすら時間がかかるようになり
プレイ時間が間延びする一因となっている。


●改善点
ゲームブックとは別に、シナリオ毎のサマリーを作る。
このシナリオではタイルの何番と何番が必要、モンスターはこれが必要等を瞬時に把握しプレイ開始までの時間短縮を図る。
・プレイヤーが4人以下でも、必ず英雄側は4人のキャラクターを操作する。
私たちはプレイヤー人数=英雄数の2人で遊んだのですが、英雄2人だとどうしようもない局面が多々発生したため。
・最もゲームを理解しているプレイヤーがオーバーロードを担当すること。
何も知らない初心者がオーバーロード陣営についても面白くないまま終わると思います。
オーバーロードは敵陣営ですが、たった一人で英雄と闘い続けなければなりません。
今回オーバーロードを引き受けてくれたお友達は、事前にルールブックの予習をしてくれていました。大感謝。
・Act2開始時、英雄側もステータスの増強を行う。
武具での補強がほぼできないスタミナが+2されると
かなり戦略の幅が広がると思います。
・プレイヤーのゲームプレイレベルによっては、英雄にスタミナの回復手段を別個に設けてもよい気がします。
ただしスタミナ消費で起動できる能力は強力な物も少なくないので、この匙加減は難しそう。
・あまりにもシナリオのバランスが悪いのも存在するため、シナリオによってはバランス調整をする。
モンスターリスポーンやオーバーロードカードの手札上限、英雄側なら任意のスキル封印、死亡回数上限の設定等。
付属のシナリオではなく、自分でシナリオを作ってプレイしてもらっても良いと思います。
特に初心者を交えて遊ぶ際には。


[まとめ]
重ゲー初心者の私にとっては、敷居の高いゲームでした。
とはいえ拡張版も現時点で3種類発売されているので、
人気のあるゲームであることは間違いないのでしょう。

ネットも検索してみましたが、実際にシナリオをプレイした後のリプレイ情報はほとんどなく
皆様がどのように遊ばれているのか見えてきませんでした。
このバランスでみんな満足しているのかな…


追記:
試しに英雄4人・単発シナリオでプレイしたところ、かなりプレイ感が良好になりました。
英雄2人で遊んだから酷いバランスだったのかもしれません。
(結局、英雄4人でもオーバーロードに負けたのはヒミツです。)
(とはいえ、英雄2人の時に感じた絶望感は全くなかった!)

追記2:
ディセント1の方はさらに時間がかかり、バランスも酷かったそうです。
それを解決するためにオリジナルルールを策定されたのがこちら。
http://fel.hatenadiary.jp/entry/20081111/1226399682
これを参考にしてバランス調整すると良さそう。

追記3:
「軽め(1時間以内に終わる)ボードゲーム」好きの主観で書きましたが、
シヴィライゼーションとかを嗜まれる方から見ると、
3時間で終わるなら軽いほうになるのかな…とも思います。
RPGってそういうものなんだよ、きっと。
時間をとるからお初の方とはなかなか難しいけれど、
よく知った間柄の人たちとわーわー言いながら冒険を楽しむのがいいんだね。きっと。
実際私たちはそうやって遊んだし、惨敗したとはいえ
結果的に楽しかったからよかったかな。

ただし人にはオススメできない!
やるなら覚悟をしてきてください!!


ディセント第2版 基本情報
■プレイ人数:2〜5人
■プレイ時間:120〜180分
■対象年齢:14歳以上
■ゲームデザイナー:Kevin Wilson
■英題:Descent: Journeys in the Dark Second Edition
■発売日:2012/10/06
■サイズ:295×295×100(mm)
■重量:2300g
■発売元:株式会社アークライト